身近な問題、打ち身(だぼく)が与える身体への影響!
私たち人間は新しいことには大きな興味を持ちますが、日常的におこったり、2~3日放置しておけば自然に回復していくような事案にあまり興味を持つことはありません。
今回のテーマでもある打ち身もその一つ、人やモノにぶつかったり、転んだりして腕、脚、頭などをぶつけることで頭にはコブが出来たり、腕、脚にはアザが出来るようなことですね。
若い時は自己治癒力も高く、血流も良いので痕が残ってしまう事はあまりありませんが、30歳を超えるとちょっとしたアザが何年も消えなくなってしまうこともあります。男性はあまり気にされないかもしれませんが、美に敏感な女性には一大事となってしまうかもしれません。
今回はそんな打撲が起こった時に身体でどのような事が起こっているのか?またなるべく痕を残さない為にはどのような対処が望ましいのか?などを確認してまいります。
脚や腕をぶつけると身体ではどんな反応があるのか?
打ち身は、擦り傷や切り傷と違って目立った傷口や出血を伴いません。外部から受けた打撃が直接身体を襲い、皮膚の下の細胞組織、筋肉、神経や骨にまで影響が及ぶ場合もあります。
一般的にはぶつけた直後より、次の日のほうが痛みが現れる傾向にあり、徐々に鈍痛が広がっていきます。もちろん打撲が強ければ強いほど痛みもより激しいものになります。強い打撲を受けると皮下組織や筋肉の至る所にある血管が切れて、内出血を起こし、患部にアザが出て、目に見えるようになるのです。
ちなみにぶつけた数時間後から数日の間にあざが変色するのは、ヘモグロビンというタンパク質が内出血によって血管から出ることでどんどん分解され、赤色のヘム、緑色のビリベルジン、黄色のビリルビンへという物質へ変化していくからです。これは内出血の跡を消す為に、身体が行う自己治癒作業の一環です。
軽い打撲でできた小さなアザは内出血が少なく、数時間の経過とともに血液が身体に吸収され治りも速いわけですが、打撲が強く筋肉などの内出血が多い場合は血液がその場に留まって血種になります。するとぶつけた場所やその周りが炎症し、腫れあがるようになります。
また皮下組織ではなく、筋肉内で出血してしまうこともあります。筋肉は筋膜という細かい繊維の糸に包まれており、この筋膜と筋肉が両方とも損傷し、出血を起こす症状を筋膜外血腫と呼びます。
ところが稀に筋肉の損傷は起こるが、筋膜が損傷せず出血が筋膜内に留まることがあります。この症状を筋膜内血腫と呼ぶのですが、この筋肉内血種は筋肉外血種と比べて腫れが出た後の硬度が異なります。その理由は血液が外に出られずに筋肉内に留まり、筋肉を圧迫してしまうからです。
詳しい話は割愛してしまいますが、筋肉は細い筋線維が集まった束で出来ており、神経や骨を骨膜で区切っているのです。この区切られた範囲内で血液が留まり、組織を圧迫し続けると血流が悪くなり、筋肉や神経が壊死してしまう、コンパーメント症候群という疾患もあります。
またコンパーメント症候群だけでなく、それほど大きな衝撃でなく、痛みもほとんどない、という状態でも骨にヒビが入るような骨折が起こっている場合も考えられます。いつもよりも患部の硬度が硬く、何日経っても一向に症状が改善しない場合は一度専門家に相談してみることをおススメします。
悪化させない為の応急処置
とにかく打撲した部分に負担をかけないよう、なるべく動かさず安静にしていましょう。なぜなら筋肉を動かすことで内出血が広がり腫れや痛みがひどくなってしまう事があるからです。
次に氷を入れたビニール袋やアイスバッグなどで患部を冷やしてあげましょう。これによって患部の温度が下がり、血管が収縮し、出血が収まり腫れを最小限にとどめることができますし、皮膚が冷やされることで感覚が鈍くなり痛みを和らげることができます。
その次は患部を固定してあげましょう。包帯やバンテージなどで巻いて圧迫することで、静脈やリンパの働きで損傷した部位から心臓に戻っていく血流を促進することができ腫れを防ぐ効果があります。
さらに、患部を心臓より高い位置にあげることで、重力の影響を減らし腫れを最小限に抑えることができます。重力によって心臓から患部へ流れていく血液の量を抑え、逆に静脈やリンパなどによる、患部から心臓に戻ってくる血流を促進することで治りが早くなります。
しかし冷やしたり、圧迫する方法はやり過ぎると血流を止めてしまったり、身体が患部を治そうとしている自己治癒活動を制限してしまう事にもなりますので適度な範囲で行うようにしましょう。
まとめ
今回は私たちの身近なケガである打ち身(打撲)について記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、年を重ねるごとに身体の自己治癒活動は緩慢になり、大人になってからのケガは痕が残りやすくなります。
もちろん痕が残るだけでなく、小さな痛みでもずっと続いていると身体的なストレスを感じますし、仕事や家事、育児などに支障を来すこともあります。一番はケガをしないように気を付けることですが、不慮の衝突は防ぎようがないのも事実です。
起こってしまったものは仕方がありませんので、なるべく早めに対処するように心掛けましょう。
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