骨に響く痛み?シンスプリント!
人間の身体は生まれてから思春期を経て、成人になり、身体が老いていきます。それぞれの年代でかかりやすいケガや疾患もあれば、その方の生活スタイルによっても異なります。有名なところで言えば飲酒・喫煙・暴飲暴食・運動不足などが挙げられます。
またスポーツを趣味にしている方にとっては競技によっても様々です。例えば野球の投手やゴルフをされる方であれば肘、サッカー選手ならば股関節や脚、卓球選手ならば腰、といったように競技特有の酷使される箇所によってケガしやすい所が変ります。
そういったスポーツに関わるケガの総称をスポーツ障害というように呼ぶのですが、今回は特に思春期のスポーツ選手やマラソンなど下半身をよく使う選手に現れるシンスプリントについて記事を書いていこうと思います。
シンスプリントとは?
脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれる脚の疾患ですが、主にスポーツ選手などによく症状が見られ、スネの下、3分の1ほどの位置に鈍痛を感じ、重症化するとスポーツが続けられるだけでなく、日常生活での歩行も困難になります。
ズキズキとした痛みではなく、ズーンと痛みがのしかかるようにまとわりつくのが特徴的ですが、膝から足首にかけてはスポーツをする方が常に動かしている箇所なので、シンスプリント以外にも鵞足炎(がそくえん)、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)、オスグッドなど様々な疾患があります。
基本的にはどれもオーバーユース(使い過ぎ)によって発症するのですが、例えば鵞足炎は膝の内側、足底腱膜炎は足、オスグッドは膝の上下などに痛みが現れますので、判断に困った場合は専門家に相談するようにしましょう。
ではシンスプリントの説明を続けていこうと思いますが、まずは人間の筋肉と骨の関係についてみていきましょう。筋肉は筋線維と呼ばれる細い繊維が集まってゴムのように伸びたり縮んだりすることで、私たちは歩いたり、走ったり、重いものを持ったり、といった事が出来ます。
そして筋線維の両側は骨と繋がっているわけですが、筋肉がそのまま骨についているわけではなく、腱(けん)がその二つをつないでいます。また骨側も直接、腱と繋がっているわけではなく、その間には骨膜と呼ばれるうすい膜が張られています。
例えばスネからふくらはぎにかけては前面に前脛骨筋、ふくらはぎ側にヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈(ちょうしくつ)筋、という筋肉があり、これらの筋肉を酷使することで脛骨(スネの骨)につながる骨膜を引っ張り、炎症を起こし、痛みを発生させるのが今回ご紹介しているシンスプリントということになります。
すねの前面にある前脛骨筋や、ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈(ちょうしくつ)筋と呼ばれる筋肉は、それぞれが骨膜を介して脛骨とつながっています。トレーニングで骨膜が繰り返し引っ張られると炎症が起こり、痛みが生じます。
そして筋繊維はその両側が骨と繋がっているのですが、ここをつないでいるのが腱(けん)と呼ばれる組織です。さらに骨と骨の接合部分は関節と呼ばれる組織があり、靭帯という組織が骨と骨を繋げる補助の役割を果たしています。
そして腱と骨の間に負荷が掛かって離れ、炎症してしまっている状態が今回のテーマであるシンスプリントです。
シンスプリントはなぜ成長期に起こる?
一番の原因は身体が未発達の段階で厳しい練習に参加することが挙げられます。中高生といえばまだまだ身体が大きくなる時期ですから、身体も柔らかく、成長期には骨がどんどんと伸長していきます。
そして骨につられるように筋肉や腱も伸長していくわけですが、この時の筋肉は常に骨に引っ張られている状態ですので、大人に比べて筋肉に柔軟性がありません。その時にダッシュやジャンプを繰り返すと身体の中で一番大きな筋肉でもあるハムストリング(ふとももの筋肉)に引っ張られ、スネに負荷が溜まっていってしまうのです。
またそれぞれの競技でうまくなっていくことを目指す部活では練習のメニューは一年生に合わせてたものではなく上級生を中心にしたメニューつくりがされているため、それについていこうとして過度に練習をしてしまったり、痛みがあっても無理して部活に参加してしまったり、となってしまいます。
特にそれまで、何もしてこなかった方が中学・高校に入っていきなり激しい練習に参加したりしてもやはり身体への負荷は大きく、シンスプリントだけなく、ほかの疾患にかかってしまうことも大いに考えられます。
まとめ
今回は中高生に多いスネに痛みを感じるスポーツ障害、シンスプリントについて記事を書いてまいりました。どのようなスポーツでも初めては徐々に練習量を増やしていくのが良いものですが、団体行動が基本となる部活動では自分一人で別メニューをこなすことは難しいです。
しかし、痛みが続くとその痛みからプレースタイルが崩れたり、自信を無くしてしまったり、上達の速度が周りより遅くなるなど、良いことはありません。
膝に限らず痛みを感じたらキチンと指導者に相談し、安静にするか、軽いメニューを用意してもらって過度な負荷をかけないようにしましょう。
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