授乳中に多いトラブル・乳腺炎の種類と原因
妊娠・出産というと多くの場合、家族のだれにとってもうれしい出来事ではありますが、実は子供を0から体内で育成する母体には非常に多くの負荷がかかるものです。それは例えば胎児に取られるカルシウム不足によって骨が脆くなってしまったり、ホルモンバランスの変化などによって出産中あるいは産後であっても精神的な不安定が常に付きまとうものです。
また出産すると今度は慣れない育児に戸惑っていくわけですが、昨今では大変多くの情報があり、どれを信じればいいのかわからない、というご家庭も多いのではないでしょうか、あるサイトでは完全に粉ミルクで行うのが良い、母乳が良い、などどちらも実績を出しているだけに、なかなか決められないものだと思います。
今回はそんな中でも授乳で育てるあるいは授乳していなくても起こってしまう、乳腺炎というものについて、その種類や炎症する原因などをご紹介していければと思います。
乳腺炎とは?
母乳育児は赤ちゃんにとっても母親にとっても非常に多くのメリットがあるのですが、一方でこれがトラブルのもとになることも珍しくありません。その代表的なものが、「乳腺炎」。実際母乳育児を行っている母親のおよそ3~5人に1人は、この乳腺炎を経験していると言われています。
そもそも「乳腺」とは乳房の中にある「乳管」と「小葉」で成る器官で、これは乳頭を起点として枝状に広がっています。小葉は毛細血管から母親の血液を受け取り、これを母乳に変えて乳管へと送り込み、乳頭に達することで赤ちゃんがママのおっぱいを飲むことができるというわけです。この授乳の仕組みは産後に赤ちゃんが母親の乳首を吸って乳腺を刺激することで起こるのですが、この乳腺に母乳が溜まって炎症を起こしたり、授乳時の傷口から菌が侵入して乳腺に感染したりすることを、「乳腺炎」と呼ぶのです。
乳腺炎の種類は?
乳腺炎には先述したような授乳期に起こる「授乳感染症」と、授乳に関係なく起こる「非授乳感染症」とがあり、更に授乳感染症には「うっ滞性乳腺炎」と「化膿性乳腺炎」の2種類が存在します。
「うっ滞性乳腺炎」は母乳が乳管に詰まることで腫れたり炎症を起こしたりしている状態です。これは母乳の粘度が高く詰まりやすい、乳管が十分に開いていない、母乳分泌のために拡張した血管やリンパ管が乳管を圧迫している、あるいは赤ちゃんの母乳を吸う力が弱すぎるといったことが原因で母乳が停滞して起こります。うっ滞性乳腺炎は産後3~4日で発症するケースが多く、乳房が赤くはれて熱感を持ち、硬くなって押すと痛みを感じるなどの症状をみせます。
「化膿性乳腺炎」は、赤ちゃんの噛み傷といった授乳中にできた傷からブドウ球菌などの皮膚の常在菌が乳管に入り込み、その周辺で炎症を起こしている状態です。またうっ滞性乳腺炎が原因となって化膿性乳腺炎へと発展するケースもあり、これが慢性化すると「慢性乳腺炎」へと移行してしまう危険性があります。化膿性乳腺炎の場合、悪寒や高熱、乳房の激しい痛みや腫れ、熱感が突如として起こるため、「急性化膿性乳腺炎」と呼ばれることもあります。
一方、授乳とは関係なく起こる「非授乳感染症」には、乳腺に細菌が侵入して炎症を起こす「乳輪下腫瘍」や、難治性の「肉芽腫性乳腺炎」などがあります。これらの疾患の原因についてはまだはっきりとしたことは分かっていないのですが、乳輪下腫瘍は喫煙との関係性が、肉芽腫性乳腺炎は自己免疫疾患や経口避妊薬等との関係性が指摘されています。
まとめ
今回は母乳育児を行っている3~5人に1人のママに訪れる乳腺炎について詳しく確認してまいりました。文中にも様々に書いていますが、乳腺炎の原因は様々あるものの、なかなか赤ちゃんに強く噛まないように言って聞かせても理解してはくれないものです。
その為、結局は大人が気を付けることになりますが、毎回同じような授乳方法を取って、何度も乳腺炎が再発してしまうという時は、色々な方法を試してみるのも手です。例えば下記のような方法も試してみて、それでも問題が解決しない時は専門家に相談するようにしましょう。
★ いつもより授乳回数を増やしてみましょう
乳腺炎の多くは、うっ滞性乳腺炎です。
おっぱいの中に溜まった母乳を赤ちゃんに小まめに飲んでもらうことで、自然に改善していくことが多いです。
乳腺炎かなと思ったら、いつもより回数を増やして授乳をしましょう。赤ちゃんが飲んでくれない場合は、搾乳をしてできるだけ溜まった母乳を出すようにしましょう。
★ 授乳の前に、乳輪を柔らかくほぐして飲ませてみましょう
乳腺炎の場合、乳輪の下が硬くなって赤ちゃんが飲みにくくなっていることがよくあります。
授乳の前に、乳輪を柔らかくほぐして飲ませると効果的です。
★ 授乳姿勢を変えて飲ませてみましょう
授乳姿勢も、横抱き、縦抱き、フットボール抱きなど、いろんな角度から飲ませてみましょう。
★ 夜間授乳をやってみましょう
赤ちゃんは、昼間は遊び吸いなどでしっかり吸わないこともよくあります。
夜中の授乳の方が自然に上手に吸う事も多いので、夜間授乳をいつもよりまめにやってみましょう。
引用:すず助産院
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