老人性うつ病とは?認知症との違いとは?

なんだか最近親の発言がネガティブになった、元気がなくなった、死について冗談めかして話すことが多くなった、こんな症状が出てきたらもしかすると老人性うつ病を患っているかもしれません。

老人性うつ病とは65才以上の方にうつ病の症状が見られることです、外国の方に比べて日本人は真面目である、約束を守る、などよくそれらの日本人的特徴は美徳として捉えられてきましたが、中には仕事をしなくなってから、あるいは家事をしなくなってから、子供が独立してから、など理由は様々ですが、生活に張りをなくしてふさぎ込んでしまうことがあります。

それが一過性のもので新しく趣味を見つける、話し相手を見つける、などが出来ればいいのですが、中には部屋に引きこもってしまう、誰とも話さなくなくなってしまう方もいらっしゃいますので、周りの方は言動や行動に注意して、うつ病のサインが出ている時は積極的にかかわって改善するようにしましょう。それでは詳しく確認していきたいと思います。

老人性うつ病とは

パンデミックの影響などによりうつ病の発症率は年々増加傾向にありますが、中でも65才以上の高齢者が罹患するうつ病を「老人性うつ病」と言います。うつ病になると神経伝達物質の機能が低下し感情や意欲に悪影響が及ぶため、気分が落ち込む、注意が散漫になる、何もする気になれないなどの症状が現れるのですが、若い人のうつ病との大きな違いは、頭痛やめまい、息苦しさ、吐き気、耳鳴りなどの身体的な不調を強く訴えるようになる、という点です。このため内科など様々な診療科を転々としますが原因が見つからず、年齢的なものによる不定愁訴として片付けられてしまうことも少なくないのです。

また老人性うつ病には記憶力や判断力の低下といった症状もあるため、前述のような意欲の低下や注意力の低下も手伝って「認知症」と勘違いされてしまうことも珍しくありません。しかし実際にはうつ病と認知症では治療法も全く異なるため、違いをしっかりと見極め適切に対処する必要があります。

老人性うつ病と認知症の違い

老人性うつ病を発症すると先述のような症状が現れますが、本人もその症状をしっかりと自覚しており悪化していないかどうかを気にしますし、それらの症状のせいで家族や周りに迷惑をかけているという自責の念も強くなり、ひどい場合には「死にたい」とまで思うようになります。一方認知症の場合、進行するにつれ認知機能が低下するため自分の症状に無関心になり、自覚しなくなっていきます。このため自責の念もなくなり、自殺願望を持つこともないのです。

また老人性うつ病は配偶者の死や定年退職、子供の独立など比較的はっきりとした「引き金」となるものがあるため、徐々に進行していく認知症と比べると発症した時点で周囲にも気づかれやすい、という特徴があります。記憶障害(物忘れ)という両者共通の症状に関しても、認知症の場合最初は軽度で徐々にひどくなっていきますが、老人性うつ病の場合引き金となる出来事をきっかけに突然数日前のことを思い出せなくなってしまいます。認知症の人は記憶障害がひどくなると記憶していなこと自体を認知しなくなるため不安も感じなくなりますが、老人性うつ病の人は覚えていないことを自覚しているため、不安や焦燥感が高まっていく傾向にあります。

更に老人性うつ病と認知症では、質問に対する答え方にも違いがあります、認知症の人は質問に対して的外れな答えをしたり、それを指摘されると取り繕ったりするのに対し、老人性うつ病の人は質問されたときに考え込んでしまい、はっきりとした回答ができなくなってしまうことが多いようです。

まとめ

うつ病というと働き盛りや周りの方との軋轢に苦しむ若い時に起こる印象があるかと思いますが、今回は特に老人の方に出る老人性うつ病について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、老人性うつ病の多くは子どもの独立や退職などを期に生活に張り合いをなくしてしまったり、あるいは自分の身体が上手く動かなくなることなどで自分自身に価値が無いように感じてしまうことが引き金になります。

いつまでも両親には健康に長生きしてほしいというのはどなたも思う事だと思いますが、どのような病気も早期発見・早期改善が一番です。例えば以下のような症状のサインが現れた時は注意深く観察し、心配なようであれば専門家に相談するようにしましょう。

周りが気をつけたいうつ病のサイン

親子だと、親の言動の変化を「親も歳だしな」のひと言で片付けがちですが、その違和感をそのままにするのは危険です。以下のような違和感は、うつ病のサインかもしれません。

注意深く観察し、うつ病発症のサインを見逃さないようにしましょう。

高齢者のうつ病のサイン

・無口になり、ずっとぼーっとしている

・趣味や好きだったことに興味を示さなくなった

・習慣だったことができなくない

・不調を訴えるが、検査では異常が見当たらない

・自殺願望をほのめかす

見るべきポイントは、「いつもと違う」という点。

おしゃべり好きな母が無口になったら心配してください。多趣味だった父が、どんな物事も面倒くさがるようになったら、病気の可能性を疑ってください。原因不明の不調が続くなら、内科や脳神経外科だけでなく、精神科や心療内科も受診しましょう。

引用:うつ病ナビ