バレエやダンスで起こりやすい障害とは?代表的なダンサー障害
ほんの十数年前まではダンスというとあまりいい印象を持っていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか、ですが義務教育でダンスを取り入れる少し前からは歌や絵画などと同様、自己表現の一環としてダンスは非常に高い評価を受けています。
その結果、ダンス人口は増え、ダンスをすることが当たり前の世の中になりましたが、何事も一生懸命に頑張ればつきものなのが、ケガです。今回はダンスをする方々に起こりやすい疾患をたくさんご紹介していきたいと思います。
例えばボクシングやラグビーのようにフルコンタクトと呼ばれるスポーツよりは明らかにケガの頻度は多くありませんが、ダンスをしている時に動かす、股関節、膝、足首あるいは筋肉の断裂などは季節によって気を付けなくてはなりません。それでは詳しく確認してまいりましょう。
股関節や骨盤周辺に起こるダンサー障害
「スポーツ」の部類に属していないものの、スポーツと同じくらい運動量が多く、体の各部に強い負荷をかけやすいのが、バレエや各種のダンス。スポーツが原因で起こる体の障害を「スポーツ障害」と呼びますが、同じようにダンスが原因で起こる障害も「ダンサー障害」と呼べるかもしれません。ダンスの場合、特に負荷がかかりやすいのは股関節や骨盤周辺。例えば以下のような障害はダンサーに起こりやすいと言われています。
「ハムストリングス付着部炎」:ハムストリングスとは太ももの後ろ側にある大腿二頭筋と半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉の総称ですが、ここに強いけん引力が加わると腱の付着部分である坐骨結節がこれに耐え切れず、炎症を起こしてしまいます。ダンサーの場合アラベスクやバットマンで起こりやすく、ストレッチするとお尻が痛いというケースで考えられるのがこの障害です。
「腸恥滑液包炎」:滑液包とは滑液という液体が入った袋状の器官で、各関節部分において腱や靭帯との摩擦を緩和する役割を果たしています。このうち大腿骨頭の前側にある腸恥滑液包が大腰筋の動きによって慢性的に強い摩擦を受けると、炎症を起こしてしまうことがあります。これが、腸恥滑液包炎。ダンサーの場合、ドゥパンやア・ラ・スゴント、デリエールなどの動きによって起こりやすいと言われています。
下肢に起こるダンサー障害
ジャンプや回転などで下肢を酷使するダンスでは、太ももや膝などの下肢にも強い負荷がかかり、障害を起こしてしまうことがあります。
「ジャンパー膝」:正しくは「大腿四頭筋腱付着部炎」と呼ばれる、大腿四頭筋腱と膝蓋骨との付着部分に炎症が起こる障害です。これはジャンプなどの動作で腱関節に強い負荷をかけることが原因で、いわゆる「膝のお皿」を押すと痛みを感じたり膝を動かした後に痛みが出たりします。大抵の場合大腿四頭筋の柔軟性が低下することで引き起こされるため、レッスン前後のストレッチが有効な予防手段となります。
「肉離れ」:正式には「筋挫傷」と呼ばれる外傷で、筋肉が強く収縮した後に瞬発的にそれを引き延ばすような力が加わると、その負荷に耐えられず筋膜や筋繊維が部分的に損傷、断裂してしまいます。つまり急にジャンプやストップをするなど瞬間的に無理な動作をしたときに起こるもので、発症すると激痛が走りそれ以上ダンスを続けることができなくなってしまいます。ダンスやスポーツで肉離れが起こりやすいのは、ハムストリングスや大腿直筋、内転筋、腓腹筋と言われています。
まとめ
今回はスポーツと同様に肉体を酷使し、ケガなども多いダンサーが起こしやすい疾患について記事を書いてまいりました。人間が身体を酷使して練習していればケガが多くなるのは当然と言えますが、特にダンサーの方には下半身のケガに気を付けていただきたいと思います。
また昨今では小学校などでもダンスの授業が増え、色々なダンスを踊っていますが、ほんの十年前であれば子供の習い事としてのダンスはバレエが主流でした。今回の記事ではダンス全般に触れてきたので最後に、バレエによって起こる障害についての記事を引用しますので、お子さんがバレエを習っているという方はぜひ、参考にしてみてください。
バレエ障害発生の危険性の高い子供
女性は男性に比べ、一般的に筋力は劣りますが、柔軟性があることが特徴です。クラシックバレエは、この柔軟性が求められ、それが有利に働くこともあります。しかし、柔軟性があるが故に、そのために生じてくる障害があるのです。関節には、関節を動かす「可動性」と、関節を支える「支持性」の2つの大切な働きがあります。関節が柔らかすぎて、支持性が逆に弱くなるために起こってくるバレエ障害があります。この関節が柔らかすぎる関節弛緩性(かんせつしかんせい)は、日常生活では支障がありませんが、バレエを踊る際には問題となるのです。
特に、関節弛緩性が高い生徒は膝関節に支障が出ることがバレエの特徴です。このほか、肩関節にも支障が出ることがあり、それはフラメンコ、モダンダンス、コンテンポラリーダンスに多い障害となります。
引用:BFRトレーナーズ協会
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません