仙腸関節炎に効果のあるエクササイズは?

若い時分はケガも不調もすぐに回復した、という気持ちはある程度の年齢を重ねるとどなたでも考える事だと思います。確かに人間の身体は加齢が進むほどケアが必要になっていく厄介なものです。

特に筋肉の衰えというのはケアをしているかどうかで如実に効果が表れ、筋肉量が維持できなくなると首、肩、背中、腰、膝などあらゆるところにひずみが生まれるようになります。今回はそんな大人になってから起こりやすい不調の一つ、仙腸関節炎について記事を書いていきたいと思います。

この疾患はお尻の中にある筋肉が神経を圧迫することで起こり、特に女性の方によく起こりやすいので、特徴やケア方法など是非、参考にしていただければと思います。それでは確認してまいりましょう。

仙腸関節炎とは?

骨と骨とのつなぎ目である関節は慢性的な負荷がかかりやすく痛みや炎症を起こしやすい部位ですが、その中で特に耳慣れないのが「仙腸関節」かもしれません。「仙腸関節」とは骨盤にある関節の1つ。骨盤は仙骨とその先っぽについた尾骨を中心に、その左右に耳のように広がる腸骨、さらにその下に坐骨、恥骨と繋がっているのですが、仙腸関節はそのうちの仙骨と腸骨とのつなぎ目部分。「仙骨」と「腸骨」の2つの文字を取って仙腸関節と言うわけです。

仙腸関節は上半身と下半身とを繋ぐ重要な関節で、体重や地面からの衝撃を受け止めて吸収する役割を果たしているのですが、それだけの強度を持たせるためにその周囲には強い靭帯が付いており、その分可動範囲はごくわずかです。とは言えここに強い負荷が慢性的にかかったり突然の強い衝撃が加わると、炎症を起こしてしまいます。これが、「仙腸関節炎」。左右両方の仙腸関節が炎症を起こすこともあれば、どちらか片方だけ炎症を起こすこともあります。

仙腸関節炎で最も多い症状は腰や臀部の痛みで、炎症により付近の神経も障害されると太ももや鼠径部、下肢にも痛みや感覚異常が生じる場合もあります。また長時間立っていると、あるいは長時間椅子に座っていると辛くなる、階段の上り下りで痛みが出る、歩行開始時に腰が痛む、仰向けで寝られない、痛みがある方の腰を下にして寝ることができない、といった症状が現れる場合も、仙腸関節炎が疑われます。

仙腸関節炎のセルフケア

仙腸関節炎には前述のオーバーユースや突発的な事故の他に、関節リウマチやクローン病、強直性脊椎炎など他の疾患が原因になっていることもあり、原因によって改善法も変わってくるため自己判断は禁物です。まずは専門家にきちんと検査・診断してもらう必要がありますが、治癒を早めるためにエクササイズやストレッチも有効と判断されるのであれば、積極的に取り入れると良いでしょう。

仙腸関節炎に効果のあるセルフケアの1つは「ドローイン」と呼ばれる腹横筋を鍛えるエクササイズで、腹横筋は仙腸関節を安定させるため、仙腸関節の不安定さが原因で炎症を起こしている場合に特に有効です。方法は簡単で、膝を立てて仰向けになり、おへそより下の位置に両手を置いて息をゆっくりと吐くだけ。この際お腹が凹んで奥にある筋肉が少し硬くなるのを手で感じることができればOKです。

特に回数に制限はないので毎日こまめに行うと良いですが、ドローインを行うことで痛みが出るようなら無理をせず、専門家の指示を仰ぐようにしてください。

まとめ

今回は臀部の奥にある仙腸関節の炎症とそのセルフケアなどについて記事を書いてまいりました。文中では改善法の一端としてドローイングだけの紹介でしたが、例えばインナーマッスルを鍛えることができるプランクというエクササイズもおすすめです。

このプランクは鍛える箇所によって方法もバラバラなのですが、機械を使うことなく、自分の身体のみでエクササイズを簡潔できますから、わざわざ事務などに通う必要もなく、長続きさせることが比較的容易ということも付け加えておきます。

それでは最後に仙腸関節炎の延長にある仙腸関節障害が起こってしまう原因などをご紹介したいと思います。この疾患は特に比較的骨盤が緩い女性に起こりやすい疾患ですから、以下のような点に当てはまる方はしっかりとセルフケアするように心がけましょう。

仙腸関節障害の原因は?

①不良姿勢(足組み、横座り)などにより、骨盤のゆがみが生じ骨盤に左右非対称な癖があること

②左右の脚を前後に開いたり腰を大きく捻るなど、骨盤に左右非対称の力が加わること

③仙腸関節の動的安定化機構の破綻(筋肉、筋膜の緊張によって骨盤の安定化が低下すること)

動的安定化とは?

仙腸関節の周囲にある多裂筋、大殿筋、胸腰筋膜、梨状筋、骨盤底筋群と腹横筋の緊張が合わさって骨盤(仙腸関節)の安定が得られます。

しかし、それぞれの筋肉、筋膜の機能不全によって骨盤に左右非対称な力が加わり仙腸関節障害が起こります。

また女性は、出産に際して仙腸関節の周りにある靭帯が緩み産道を拡げますが、出産後も靭帯が緩んだままになってしまい、仙腸関節障害を引き起こすことがあるといわれています。

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