トイレが近くて我慢できない?!過活動膀胱とは
年齢を重ねていくと、若いころよりもケガをしやすくなったり、ギックリ腰や肩こり、眼精疲労など次第に無理が効かなくなってくるものですが、今回はそんな身体の衰えの中でも非常に厄介な尿漏れを引き起こす過活動膀胱について記事を書いていきたいと思います。
この疾患は頻尿、強い尿意、夜間頻尿、尿失禁などを引き起こすもので、いつでもトイレに行ける環境にある方にはあまり気にならないかもしれませんが、会議中であったり、プレゼン中であったり、なかには見たいテレビ番組の放映中など、出来ればそういったことが起こらないに越したことはありません。
それでは過活動膀胱や人間の尿意などについて改めて確認してまいりましょう。
過活動膀胱とは?
通常人の尿意は膀胱におよそ400~500ml以上の尿が溜まることで神経が刺激されて起こりますが、この尿量に達していないのに尿意を感じてしまうのが、「過活動膀胱」です。
排尿のシステムをより詳しく説明すると、まず腎臓で作られた尿が膀胱内で約400ml以上溜まってはじめて急激に膀胱の内圧が上がり、膀胱壁にある伸展受容器が刺激されます。この刺激が神経を介して脳にある排尿中枢に伝わって尿意を感じるわけなのですが、この時、例えば仕事の会議中などトイレに行けない状況であれば、脳は陰部にある外尿道括約筋を収縮させて一時的に排尿を抑えることができます。そしてトイレに行くことが可能になった時点で脳は外尿道括約筋を弛緩させ、腹圧をかけることで排尿させるのです。
ところが過活動膀胱の場合、膀胱に400mlも尿が溜まっていないのに膀胱が勝手に収縮し、尿意を感じてしまいます。このため何度もトイレに行きたくなる「頻尿」や突然我慢できないような尿意を感じる「尿意切迫感」、また尿意を感じてからトイレに着くまで我慢しきれず途中で漏らしてしまう「切迫性尿失禁」といった症状が起こります。このような強い尿意を感じるものの実際には膀胱内にそれほど尿が溜まっているわけではないので、1回の排尿量が少ないのも過活動膀胱の特徴です。
過活動膀胱の原因
過活動膀胱は、脳と膀胱を結ぶ神経の障害が原因の「神経因性」と、それ以外が原因の「非神経因性」の2つに分けられます。
前述の通り排尿は膀胱が独立的に働くのではなく脳との連係プレーによって起こるのですが、その連係プレーのための通り道となっている神経に障害が起こると膀胱に溜まっている尿量を正しく伝えることができなかったり、脳から膀胱の筋肉に発せられる「弛緩しろ」「収縮しろ」という命令がうまく伝わらなかったりします。これが、「神経因性」。神経に障害が起こってしまう原因としては、脳梗塞や脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷などの病気が挙げられますが、他にも詳しいメカニズムは分かっていないものの精神的ストレスや加齢が関係している場合もあると言われています。
一方、「非神経因性」としては、女性の場合出産や加齢によって膀胱や尿道を支えている骨盤底筋が弱くなって脳からの指令をうまく実行できないこと、男性の場合は前立腺肥大などで尿が出にくい状態が続いたせいで膀胱の筋肉が異常をきたし、少しの刺激でも過敏に反応するようになることが挙げられます。
まとめ
今回は膀胱や尿に関するトラブルの一つ、過活動膀胱について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、過活動膀胱には様々な原因があるものですが、症状が重篤化していくと夜間によく目が覚めてしまったり、日中もそれらに関するトラブルが気になって出不精になってしまうなど、生活の質を下げることに繋がってしまいます。
もちろん過活動膀胱の原因によっては専門家にも解決できないことがありますが、身体の衰えや日ごろの行いで症状が解決する場合もあり、例えば下記のような予防法など試してみることをお勧めします。
過活動膀胱の予防
・生活改善
水分やカフェインを摂り過ぎない。
トイレは早めに行く。外出時はトイレの位置を確認する。とくにホテルやデパートのトイレがきれいでお勧め。
日常生活空間をトイレを中心に配置する。
ポータブルトイレや採尿器を準備する。
トイレですぐに排尿できるような服装を選ぶ。
・膀胱訓練
膀胱の容量を増加させ排尿間隔を延ばすための訓練です。尿意が生じてもトイレを我慢します。短時間からはじめて徐々に15分から1時間単位で延ばして行きましょう。最終的な排尿間隔の目標は2-3時間です。
・骨盤底筋訓練(女性)
排尿に関係する骨盤底筋を強化することにより尿道を締め、尿漏れの軽減を目指します。訓練の基本姿勢は、横になり、あおむけの体制でひざを立てる、椅子に座る、立ったまま机に両手をつくの3種類です。
1 膣と肛門を5秒間ギュッと締め、10秒間緩めます。これを5回繰り返します。
2 先ほどの運動を今度は早いペースで5回繰り返します。
1と2を1セットとして1日10セット行います。合計100回膣と肛門を締めることになります。
引用:柳沢ファミリークリニック
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