臀部の筋肉の硬直が坐骨神経に影響する!!梨状筋症候群とは!?
今回の記事は、立ち仕事や長時間同じ姿勢を取ることが多いデスクワークを行っている方、車を長時間運転する方々に多い臀部(お尻)にまつわる病について触れてまいります。
もし上記の仕事や運動中に痛みや痺れの症状がお尻から膝にかけて起こるという方は、梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)を患っている可能性があります。
この疾患は、お尻の筋肉の使い過ぎによる硬直が原因で起こるのですが、その症状や予防法、あるいは似たような症状が現れる疾患と合わせてご紹介していきたいと思います。
梨状筋症候群と椎間板ヘルニア
それではまず梨状筋(りじょうきん)という筋肉についてご説明します。これは臀部(でんぶ)つまりお尻を構成する筋肉の一つであり、臀部の深い部分に存在するインナーマッスルと呼ばれる筋肉の一つです。
また今回のテーマである梨状筋症候群を説明するにはもう一つ坐骨神経もご紹介しなくてはいけません。この神経はお尻からつま先に走っている神経で人体で一番太い神経だといわれており、この神経があることで下半身の筋肉を動かすことができます。
そして梨状筋に異常が起きて硬くなったり、長時間圧迫されていると、この坐骨神経が圧迫され、その影響により痛みや痺れが起こります。これが梨状筋症候群の正体です。
しかし、こういった坐骨神経になんらかの異常が発生し、ちくちくとした痛み、麻痺、しびれ、倦怠感、腰痛などが現れる病はとてもたくさんあるのです。
例えば腰椎椎間板ヘルニア。背骨は椎骨というブロックが積み木のように重なって出来ていて、そのブロックとブロックの間にあるクッションのような軟骨が椎間板です。この椎間板が重いものをいつも担いでいたり、激しいスポーツなどによって潰れてしまうことで背骨周辺の神経を圧迫し、腰から脚の先までに痛みや痺れが起こる病が椎間板ヘルニアです。
あるいは脊柱管狭窄症。先ほどもご紹介した背骨のブロックには中心に穴が開いています。この穴を脳からの電気信号を体に伝える脊髄が通っています。そしてその脊髄を守っているのが脊柱管です。
この脊柱管が圧迫され、下半身のしびれや痛み、あるいは長時間歩くことができないといった症状が現れるのが脊柱管狭窄症という病で、これも梨状筋症候群と似たような症状を引き起こします。
以上のように背中や腰回り、臀部周辺は大切な神経が走っている箇所ですから、とてもたくさんの疾患の可能性が考えられるのです。また痛みの種類や特徴から椎間板ヘルニアの可能性がある、、と思ってもよくよく調べてみれば梨状筋症候群であった、という事例もありますので、ご自身で判断せず、まずは専門家に相談することをおススメします。
梨状筋症候群の原因
さて、梨状筋についての説明を続けますが、梨状筋は骨盤の中にある仙骨という骨とふとももの骨である大腿骨を繋げている筋肉です。この筋肉があることによって、足を旋回させることができます。
旋回という言葉ではわかりずらいかもしれませんので補足をしますと、例えば立っている時に右足を右にまっすぐ上げる時や、同様に立っている状態で右ふとももを上げ、それをやはり右側に開くような時に使われている筋肉です。
あるいはこの筋肉はそういった動きだけでなくて股関節が必要以上に開かないように動きを抑制している筋肉でもあるのです。
そして冒頭でも触れたように日常的に長時間座っていると、梨状筋が凝ったり硬くなったりします。しかし、インナーマッスルは身体を覆っている筋肉と異なり、使いすぎても筋肉痛のような症状が現れずらいという特徴があるのです。
どちらかといえば筋肉痛のように鈍くずっと痛い、という感覚よりも違和感があったり、ズキズキと痛む、という症状が現れる場合のほうが多いです。
ですから梨状筋は酷使しているという認識が持たれにくい筋肉なのです、しかし、筋肉は筋肉ですからやはり腕や足の筋肉と同様に使いすぎると硬くなるという性質は持っています。
例えば神経をホースに見立ててみましょう。この神経をスポンジのような柔らかいもので押さえつけてもあまり変形はしませんが、バットや金属の棒で押さえつければ変形するのと同様に梨状筋が硬くなるとその下を通っている坐骨神経を圧迫しやすくなり、梨状筋症候群へと発展していくわけです。
ちなみに梨状筋症候群には下記のような特徴がありますので、ご自身の痛みや痺れの特徴が似ていれば梨状筋症候群を疑ってみましょう。
・「電気が走るように鋭くしびれる」「灼熱感」を感じる。
・神経圧迫によって患部周辺の感覚が鈍る。
・太ももの裏側、ふくらはぎ、膝の裏などの痺れや痛み。
予防方法
では最後に、この梨状筋症候群による痛みや麻痺の症状を改善するストレッチをご紹介します。文中でも何度も触れていますが梨状筋が硬くなると坐骨神経の圧迫につながりますのでここを柔らかくする体操です。
まず始めに、あおむけの状態で寝てみます。次に膝がお腹にくっつくよう太ももを持ち上げましょう。その状態から上半身は動かさずに膝をゆっくり外側に倒します。
この状態を10~20秒キープしてゆっくりと元に戻します。これを左右3セットほど行うと梨状筋が適度に伸びて柔らかくなります。
もちろん、運転中や仕事場でおあむけになることは出来ませんから、寝る前やお風呂上りなどにこのストレッチを行う習慣をつけると良いかもしれません。
まとめ
今回は、お尻周りのインナーマッスルである梨状筋の硬直が坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれが起こる梨状筋症候群について記事を書いてまいりました。
文中でも触れたように背骨、腰回り、臀部周辺には大切な神経や筋肉がたくさんあり、疾患も様々です。またこの辺りの疾患は原因が同じでも人によって症状が異なるのも特徴的です。
もしかすると梨状筋症候群かもしれない、と思って今回ご紹介したストレッチを行ってみてもいいかもしれませんが、原因が判明できれば原因に合った解決策が見つかるはずです。
腰や下半身は一度痛めると癖になって、一生痛みが出るといった可能性もありますので、お暇を見つけて専門家に相談することをおススメします。
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